坂本真綾 夕凪LOOP 感想 う〜ん・・

 菅野よう子というミュージシャンは良い意味で特殊な人なので、今回初めてその菅野よう子が参加せず、なおかつ特定のミュージシャンにトータルなプロデュースを依頼しなかった事で今作は坂本真綾にとってのスタンダードなポップソング集になるはずだったと思う。もし今作の出来に制作陣が納得しているとすれば、こちらとしては残念としか言いようが無い。意味の無い仮定だけど、普通の声優がリリースしたアルバムであれば及第点以上だし「レベル高いねぇ」なんて話にもなったかもしれないが坂本真綾はちょっとポジションが違うだろう、と。

 だいぶ前に坂本真綾の曲はメロディーよりもバッキングやコーラスで盛り上げてるって書いてる人がいたけど、菅野よう子も実際そういう試みをしていた部分はあったと思う。(ここ一番ではガッと掴むメロディーも勿論書ける)今作でも割と空気感や雰囲気を優先して作ってると思われる曲は結構あるんだけど、どうもパッとしない。M9「ユニゾン」なんかはいろいろ構成も凝ったりしてるんだけど、メロディーもサウンドもいまいちなので間延びして聴こえる。
 全体的にはバンド+ストリングスという形はほとんど変わらず、ただ旨みも毒も薄まった感じ。正直言うとただ菅野の作風から劣化しただけなんじゃないかと思っちゃうところはある。こうなるんだったら誰かプロデューサーを立てて特徴のあるアルバムを作った方が良かった気がするなぁ。

 なんか悪い事しか書いてないけど、声は本当に好き。M-5「パプリカ」M-7「月と走りながら」M-12「a happy ending」あたりを聴くとこの歌声は本当に好きだなぁと思う。これだけ透明感がありながらも優しさ・憂いを持ってるのは良いですね。まあ、そんなの関係なくただ声が好きだというのが大きいんだけど。「月と走りながら」では低音も気持ちいいという収穫もあり。浜崎貴司GJ。
 とにかく良い作曲家・プロデューサーとの縁があることを願うばかり。